よくニュースで台風が来たときに「○○hPa」なんて書かれたりするのですが、この「hPa(ヘクトパスカル)」って何なんでしょうか?
結論から言ってしまうと台風情報で使用されるヘクトパスカルとは台風の中心気圧を表す表示のことです。この説明だけだとイメージがしづらいですが、一般的にはこの数値が低ければ低いほど強力な台風であるとされています。
「激甚災害」に指定された、2019年10月発生の台風19号は945hPaを記録!どのくらい強いのか調べました。
目次
「955hPa」はどれくらい強いのか?
2019年10月に発生した台風19号は945hPaと記録されています。
こちら↓がヘクトパスカル基準で簡単にわかる台風の強さの目安。945hPaは「強い台風」に該当することがわかりますね。
ヘクトパスカル | 強さの目安 |
1013hPa | 通常(日本付近) |
950hPa | 台風 |
940hPa | 強い台風 |
935hPa | かなり強い台風 |
915hPa | 猛烈過ぎて危険 |
空気は重力によって、気圧の高い(高気圧)ところから低い(低気圧)へ流れていきます。
高気圧では、雲が発生しにくいので天気は良くなることが多いですが、低気圧では上昇気流で、空気は気圧が低いところに移動するので膨張し、水蒸気となり雲が発生し雨になることが多くなります。
実際の台風の強さは「風速」で想定する
体感で感じる台風の強さ(災害規模)は、ヘクトパスカルではなく「風速」で測ります。
階級 | 最大風速 |
強い | 33m/s以上~44m/s未満 |
非常に強い | 44m/s以上~54m/s未満 |
猛烈に強い | 54m/s以上 |
↓実際に起こるかもしれない台風被害の目安。今回の台風19号であれば風速40m/sなので「強い」台風で、軽いものが飛ぶレベルというコトが想像できますね。風速50m以上にもなると木造家屋が倒壊します。
引用:https://isabou.net/TheFront/disaster/point/wind.asp
ヘクトパスカルが低いほど風が強い
初めにも書いた通りヘクトパスカルが低いほど台風の中心にある気圧は高くなります。
これだけでもある程度台風の強さを想像で切るのですが、気を付けたいのが「単純に数値が低い = 台風の勢力が強い」ではないところ。
ヘクトパスカルが低ければ低いほど風が強くなるのは説明した通りですが、気象庁の基準では「風の強さ」「大きさ」にもよって異なってきます。
例えば「風の強さ」は最大風速によって3段階あり、↓のように分類することができます。
- 秒速33メートル~44メートル未満「強い台風」
- 秒速44メートル以上~54メートル未満「非常に強い台風」
- 秒速54メートル以上「猛烈な台風」
hPa/ヘクトパスカルとは?
台風の強さは気象庁の基準で「強い台風」「非常に強力な台風」「猛烈な台風」の3つにカテゴライズされます。(参照:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/1-3.html)
とはいえこれだけの情報では「なんかすごいのがくるらしい」というコトしかわかりません・・・。そこで台風の強さを図る一つの基準がこのhPa/ヘクトパスカルです。
ヘクトパスカルはもともと圧力を表示するための基準ですが、
大型で非常に強い台風19号は、12日(土)午前10時現在、八丈島の西南西約230キロにあって、時速25キロで北に進んでいます。中心気圧は945ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は45メートル、最大瞬間風速は60メートルとなっています。
引用:https://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/typhoon/
上のように台風の概要を説明するときにも使用されます。
もともと日本では1992年11月までミリバール(mb)という基準が使用されていましたが、1992年12月から国際単位系のヘクトパスカル(hPa)が使われるようになりました。
ちなみに、ヘクトはヘクタールなどでも使われるように100倍という意味です。そして1ヘクトパスカルは100パスカル。それまではニュートン毎平方メートル等と表していました。
hPa/ヘクトパスカルの由来
ヘクトパスカルの由来は、フランスの哲学者・自然科学者パスカルの名から付けられました。「人間は考える葦である」という言葉で有名な人ですが、大気圧の存在をはじめて実証的な方法で示した人でもあります。
その業績をたたえて1971年から圧力の単位「hPa」を使うようになりました。
台風19号が最強と言われるのはなぜ?
東日本過去最大級の台風といわれる「台風19号 (ハギビス)」。
↓はこれまでの中心気圧が低い台風 (統計期間:1951年~2019年第12号まで)のランキング。この過去データを見ると、意外な事実が判明します。
順位 | 台風番号 | 上陸時気圧 (hPa) |
上陸日時 | 上陸場所 *1 |
---|---|---|---|---|
1 | 6118 *2 | 925 | 1961年9月16日09時過ぎ | 高知県室戸岬の西 |
2 | 5915 *3 | 929 | 1959年9月26日18時頃 | 和歌山県潮岬の西 |
3 | 9313 | 930 | 1993年9月3日16時前 | 鹿児島県薩摩半島南部 |
4 | 5115 | 935 | 1951年10月14日19時頃 | 鹿児島県串木野市付近 |
5 | 9119 | 940 | 1991年9月27日16時過ぎ | 長崎県佐世保市の南 |
7123 | 940 | 1971年8月29日23時半頃 | 鹿児島県大隅半島 | |
6523 | 940 | 1965年9月10日08時頃 | 高知県安芸市付近 | |
6420 | 940 | 1964年9月24日17時頃 | 鹿児島県佐多岬付近 | |
5522 | 940 | 1955年9月29日22時頃 | 鹿児島県薩摩半島 | |
5405 | 940 | 1954年8月18日02時頃 | 鹿児島県西部 |
引用:気象庁
また、統計開始以前の参考記録でも、かなり強力な台風の記録が残されています。
- 室戸台風 911.6hPa 1934年9月21日(室戸岬における観測値)
- 枕崎台風 916.1hPa 1945年9月17日(枕崎における観測値)
このデータを見る限りここ25年ほど、940ヘクトパスカルを下回る大型台風はやってきていなかった模様。
しかもこれまでにランキング入りした台風がすべて西日本で上陸したものなので、今回の台風がすごくレアなことがわかりますね。
台風(ハリケーン)の「カテゴリー6」になる?
台風19号の大きさは米軍合同台風警報センター(JTWC)が定める台風(ハリケーン)の「カテゴリー5」に収まらず、存在しない「カテゴリー6」に該当するという報道も出ていましたが、実際にはそこまで規模は大きくないようです。
国際分類 | カテゴリ | 最大風速(1分平均) | ||
---|---|---|---|---|
ノット (knots) | 秒速 (m/s) | 時速 (km/h) | ||
Typhoon / Hurricane | 1 | 64 – 82 | 33 – 42 | 119 – 153 |
Typhoon / Hurricane | 2 | 83 – 95 | 43 – 48 | 154 – 177 |
Typhoon / Hurricane | 3 | 96 – 113 | 49 – 58 | 178 – 209 |
Typhoon / Hurricane | 4 | 114 – 135 | 59 – 69 | 210 – 249 |
Typhoon / Hurricane | 5 | 136- | 70- | 250- |
引用:http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/help/unit.html.ja
コチラで検証記事が紹介されていました!
まとめ
ヘクトパスカルの強弱がわかると、台風の規模をある程度推測することができるようになります。
台風は最盛期~衰弱気に日本に上陸することが多く、上陸後は温帯低気圧になるなどして数日のうちに消滅していくことがほとんどですが、上陸時のヘクトパスカル(や風速)は、災害の大きさをはかるための大きな目安になります。
ニュース速報や天気予報を見て「ヤバい」と思ったら、身の回りにある防災用品をまとめるなどして、万が一の時にスグ対処できるよう準備したいですね。